(社)姫路青年会議所
2003年度 理事長所信
糴川 英毅君
愛するひとがいて、豊かなまちが広がる。
この未来を託すべき、かけがえのない地球(ほし)に。
「機は熟した」 今こそ行動を起こすとき!
Jayceeのすべての可能性にかけて!!
1.そして、夢が形に・・・
1999年11月17日、その時、その場に居合わせたメンバーは何を感じたろうか?覚めやらぬ興奮。戸惑い。それとも訳の分からない方向に突き進もうとするが故の、漠然とした不安。いろいろな気持ちが交錯する中、それでも(社)姫路青年会議所は「全国会員大会誘致活動を開始する」ことを臨時総会において決議しました。私自身、背中を押されたような気持ちを抑えることができないまま・・・。
そうして3年目を迎えた2002年9月26日。旭川の地において、2005年姫路での全国会員大会開催が決定いたしました。あの全国会員大会という「夢」がまさに形となった瞬間でもありました。本当に、本当に、(社)姫路青年会議所が全国会員大会を主管することが決定したのです。
しかしながら、「なんで全国大会を誘致するの?」「メリットは?」「ただ、ただ大変なだけじゃないの?」そんなメンバーのささやきが、今もって聞こえてくることも否定できない現実であります。
そもそも、全国会員大会は、「JC運動の意識高揚の場」として(社)日本青年会議所が主催する大会です。その大会を姫路で開催することにより、姫路JCメンバーの意識高揚も図ることができ、そうして、その高揚した意識が起爆剤となって、これまで脈々と継続してきたまちづくり運動をさらに強力に牽引する力となるのではないでしょうか。また、全国会員大会を、我々がこれまで行ってきた、あるいはこれから行っていくグランドデザインを軸としたまちづくり運動を全国のメンバーに伝播していく、素晴らしい機会ともとらえております。
「愛するまち 姫路」を全国のメンバーに知ってもらいたい、「愛するまち ひめじ」に我々が何をしてきたか、これから何をしようとしているのか、知ってもらいたい。そうして、全国から姫路に集うメンバーが、充実した、爽やかな気持ちでそれぞれのまちに帰っていただきたい。特に卒業生がJCライフの有終の美を飾るまちとして、姫路という名を、姫路という風景を、生涯胸に刻んでいただきたい。私はそんな動機で全国会員大会を姫路で開催したいと考えております。
我々が各地青年会議所で開催される全国会員大会を訪ねていくとき、見事に構成された式典の演出、一年間走りつづけてきた情熱に満ちた会頭のスピーチ、感動渦巻く卒業式、そういったものを体感することにより、さらにJCに対する意識が高揚することを実感してきました。しかし、我々が本当に感じているのは、主管するLOMメンバーのひたむきすぎるくらいな努力、その一点に凝縮したが為に、はちきれんばかりにほとばしるエネルギー。それらが具現化したすべてのもの、もの、もの。言わば全国会員大会が醸しだす独特の雰囲気を、我々は受け継ぐ力の源として感じているのではないでしょうか。それはただ、ただ、愛するまちのために、愛するまちに全国の仲間を招きたいが為に、一点の曇りもない気持ちで彼らは全国会員大会という「意識高揚の祭典」を創造してきたのです。
私は確信します。
全国会員大会を語ることは、JC運動を語ること。
JC運動を語ることは、まちづくり運動を語ること。
まちづくり運動を語ることは、未来を語ること。
創立から四十数年、(社)姫路青年会議所はこの姫路のまちに、様々な時を刻み込み、重ね合わせてまいりました。そうしていよいよ「機は熟した」と感じています。
「機は熟した」今こそ、私は全LOMメンバーとともに、(社)日本青年会議所の全国会員大会をこの姫路の地で開催するその日のために、夢を形に、そうしてその形を現実のものとするプロセスに全力で、果敢に取り組むことを誓います。
このまちに新たな一頁を綴るために・・・。
輝かしいこのまちの未来を創造するために・・・。
2.受け継ぐもの、引き継いでいくこと
(1)グランドデザインを原点に
「JCってなんだろう?」
「JCって何をするべきなんだろう?」
「JCってどこに向かって走っていくべきなんだろう?」
そんな疑問を感じたことはないでしょうか。そんな疑問を熱っぽく投げかけたことはないでしょうか。そんな疑問符が日常会話で繰り返されることこそが、青年会議所の本質であるように思います。
組織の存在意義を絶えず確かめる。青年会議所はその目的をある特定したジャンルに限らない集団だけに、その作業を絶えず必要としてまいりました。また、その作業を継続的に行うことにより、時代の変化に呼応し、自己変革にも容赦なく取り組むことができたのだと思います。
「明るく豊かな社会づくり」というビジョンのもと、それを達成するための戦略、戦術は縷々変化してまいりました。ただ、そこに横たわる普遍的なもの、それは絶えず自己の存在意義を確立し、自己の存在価値を高めていくこと。その動機さえ明確であれば、時には遠回りするようなことも、時には後戻りするようなこともあるにせよ、青年会議所は永遠に継続していくことができるのだと思います。
(社)姫路青年会議所もその46年の歴史の中で、形を変え、中身を変え、時代のうねりの中で走りつづけてまいりました。単年度制であるが故に、とどまることを許されず、絶えず沸点パワーで運動を展開してまいりました。走りながら考える、行動しながら選択する。それが青年会議所の持ち味であり、まただからこそ、大きなエネルギーを産むのだと思います。
そうして一昨年45年という節目に、「考えたこと」「選択したこと」を「グランドデザイン」としてまとめ上げました。この「グランドデザイン」は、このまちにとっての(社)姫路青年会議所の存在意義を、またその存在価値を高めていくための方向性を、明確に指し示したものといえます。
「情報の循環」「人づくり」「資源の有効利用・循環」「姫路の個性を発揮」。この4つの課題をもとに、2002年度具体的な動きが始まりました。その動きを止めることなく、2003年度も継続していかなければならないと考えております。そして絶えず存在意義の確認を行い、存在価値をさらに高めるために、繰り返し検証を行いながら、青年会議所だからこそできるまちづくり運動を大いに盛り上げていきたいと考えております。
(2)「あ!WAずGARDEN」を「市民意識高揚の祭典」に
2000年度から継続してきたアワードを核とした祭典。3年目を迎えた2002年度もまた
祭典をバージョンアップ、ブラシュアップし、大いに成果をあげることができました。
がんばっている市民団体にハレの場を。
「ひと・もの・情報・金」の循環するシステムづくりを。
当初目的としていたことは十二分に達成されてきたと思います。また、祭典を継続することにより、青年会議所の祭典に対する企画力、設営力の向上、また市民団体とのネットワークのさらなる広がり、学生ボランティアとの深い信頼関係などなど、様々なことがもたらされました。
しかし、一方、祭典の実行委員会組織の中でなかなか市民団体との連携が図れない、市民団体に能動的に携わっていただく機会を提供できない、ということが課題としてあげられます。これは祭典としての位置づけが、いまひとつ明確になっていないことが原因としてあげられるのではないでしょうか。
もともと市民団体を褒賞することを中心に据えた事業。祭典はその褒賞を盛り上げるために企画されたものでした。しかし、一般に来場される市民の多くは、どちらかというとその祭典部分を目的として来場されます。そのギャップを今一度再認識する必要があるのではないでしょうか。そうして、再度、青年会議所として、この祭典を通じて一般に来場される市民に何を訴えたいのか、何を持って帰っていただきたいのか、そのコンセプトを明確にしていく必要があると考えます。
2003年度、「あ!WAずGARDEN」をLOM全体事業として継承します。その中で、褒賞事業の位置づけを再確認するとともに、祭典を「市民意識高揚の祭典」というコンセプトのもと再構築します。また、祭典を再構築していく中で、環境、教育、地域文化、国際、情報など各委員会がテーマをもって委員会個々に事業を構築し、祭典のプログラムとして展開します。各委員会が事業を構築していく中で、当然市民団体などとの連携は必要となってくるはずですし、各事業に参画していく形で市民団体が能動的に携さわっていく機会を提供します。
「あ!WAずGARDEN」を「市民意識高揚の祭典」に!
何よりもメンバーと市民が一体となって楽しめる祭典を!
3.2003年・・・そして飛躍の年に
<LOM重点事業>
全国会員大会開催準備に関する事業
「あ!WAずGARDEN」開催に関する事業
こころの教育に関する事業
スローライフに関する事業
地域文化交流に関する事業
(1)LOM運営について
2003年度は全国会員大会を開催する為に準備する3年間の最初の年になります。
何もかもが手探りの一年になるでしょう。それとともに、メンバー個々にそれなりの負担がかかってくることにもなると思います。しかしどんな負担も、目的意識が明確であり、達成感が伴うものであれば、過度に負担と感じることはないでしょう。
これから全国会員大会開催準備を行うにあたって
・全国会員大会開催の意義
・全国会員大会開催までのプロセス
・全国会員大会開催までの進捗状況
以上を絶えず確認、明確にしながら膨大な準備作業に取り組み、着実に成果をあげていきます。
また、LOMとしても全国会員大会準備のために多くのエネルギーを必要とします。全国会員大会準備のための委員会も増設しなければなりません。そういったことから既存の委員会数を減らし、事業においてもできるだけ「あ!WAずGARDEN」に照準をおいた形で構築を行い、事業数自体も集約していくことを決断し、委員会そしてメンバー個々の役割と責任を明確にしながらLOM運営を行っていきます。
(2)学校へ行こう!
2002年度、「こころの教育事業」として、青年会議所が体験学習を企画し、実際に授業を行うという事業を推進しております。これは学校の総合学習の時間をいかに有効に使うか、いかに中身の濃い学習を児童に体感させることができるか、そういった学校側のニーズと相まって構築された事業です。
これまでも(社)姫路青年会議所は数多くの青少年事業を行い、様々な啓蒙活動など大きな成果をあげてきました。しかしながら、そのすべては学校の枠の外で行われてきたものでした。それが、実際に教育現場において、学校の授業という枠の中で事業を行ったのは、(社)姫路青年会議所としても初めてであり、まさに画期的なことであると言えます。
時代背景があるにせよ、それだけ教育現場が変わりつつあることを物語っておりますし、さらに言うと、教育現場自体が青年会議所の力を必要としているということです。
2002年度の事業を受け、青年会議所として学校とどのように関わっていけるか、何ができるか、あるいは何を必要とされているか、そういったことがある程度方向性として指し示されました。
2003年度はそれらを受け、さらに数多くの体験学習の輪を広げていくとともに、学校というコミュニティの中で、青年会議所が担う役割を再認識したうえで、地域の大人が積極的に学校との関わりを持てる環境作りを行っていきたいと考えております。
(3)スローをキーワードに
この地球(ほし)はどうなっていくのでしょうか?
温暖化は確実に進んでいます。オゾンホールも存在します。南極の氷も溶け始めてきております。
動植物の種が絶え、また数多くの種が絶滅の危機にあります。
誰がどう叫んでも、あがいても、やはりこの地球(ほし)が滅亡の方向に向かって進んでいるのは疑いようのない事実なのではないでしょうか?しかし、理屈では分かっているけれども、確かにいろいろなデータを突きつけられると身震いはするけれども、それでも日常は日常として淡々と進んでいってしまう。それが現実だと思います。
環境運動とは博愛精神みたいなものから発せられるものではありません。環境運動とは、これだけ肥大化してしまった人類の欲望と向上心と知能をどのようにコントロールしていくか、人類の存亡をかけた、壮絶な人類のための闘いなのです。
スローをキーワードに、これまでの効率性や至便性だけを追求するのではなく、ものの本質を捉えた価値観に転換していくことが、人類のこれまでの流れを少しずつにでも変えていける大きな要素になるかもしれません。
「人間はもともと歩く動物だったんですよね。」
「食はもともと土と水と大気からしか産まれ得なかったんですよね。」
2002年度、企業を対象に「エコアクション21」という環境活動評価プログラムの導入を図る事業を展開してまいりました。まちの中にあって、環境に対する影響力が何よりも大きい企業を対象としたことは、切り口としても新しいものでしたし、また成果としても大きいものでした。2003年度としても、エコアクション21導入企業のフォローアップを行うとともに、エコアクション21というプログラムそのものの検証をも進めていきたいと思います。また、それと同時にコミュニティの中で、スローをテーマに食やエネルギーや交通手段など、日常のすべてについてどのように関わっていくかを考え、「循環のまち 姫路」を創造していくことが重要であると考えております。
食に関しては、「身土不二」(身と土は二つにあらず)の観点から、地域での自給を考え行動します。エネルギーに関しては、自然エネルギーを核とした地域でのエネルギーの循環を目指し行動します。交通手段に関しては、自転車コミュニティの創造を目的に「姫路シティサイクリング大会」の開催実現に向けて行動します。
もはや行動あるのみです。しかし、一人ではできません。多くの仲間と大きな意識がなければ、すべて絵に描いた餅になってしまいます。でも、こんな運動も、例えば「あ!WAずGARDEN」で訴えかけることができたら、この先を指し示すことができたら、ちょっとずつでも運動の輪は広がっていくと思います。
難しい問題、でも人類として決して避けては通れない問題。だからこそ(社)姫路青年会議所としても価値観の転換を図ることから、この大きな問題に真正面から挑んでいきたいと考えております。
(4)地域文化を全国へ、世界へ
これまで(社)姫路青年会議所は、地域の特性を発掘し、世の中に出してきました。
その中で、継続的に行ってきた結果、最も目に見える形で成果をあげつつあるのが「祭り文化」であり、その祭りを彩る「屋台文化」の発掘、保存事業です。
地域文化とはまさしく地域のアイデンティティであり、そこに暮らす人の誇りです。
全国会員大会を姫路に誘致するにおいても、まずは姫路のアイデンティティの探求から始まりました。アイデンティティが無い地域には、なかなか全国からメンバーを呼ぶにしても説得力がないからです。これからも全国会員大会を開催するLOMとして、地域のアイデンティティである地域文化を積極的に発掘あるいは確立していかなければなりません。
さらに、2003年度は地域文化を発掘するだけではなく、さらに文化と文化との交流を目指したいと考えております。アイデンティティが他のアイデンティティと接することにより、さらにそのアイデンティティは研ぎ澄まされたものとなると考えているからです。また、交流することにより様々な方面への情報発信にもなると考えたからです。
もちろん、その交流は域内とか日本の中だけを考えているわけではありません。海外との文化、しかもその国、その国の小さな地域文化との交流も念頭において進めていきたいと考えております。
地域の活力は、その地域が育んだ文化が担っています。
4.可能性にかけて
あなたは、Jayceeの可能性を信じますか?
この、何もかもが不透明な時代にあって、JCができ得ることなんて確かにちっぽけなことかもしれません。
「日本を変える!時代を変える!」と言ったって、自ずと限界もあります。
「それよりも仕事の方が大変だ!」そんな悲痛な声も聞こえてきそうです。
しかし、Jayceeには可能性があります。
JC運動で得た体験や気づき、また友情を中心に芽生えたネットワーク。それらが個としての
Jayceeをゆり動かし、共鳴し、大きな地鳴りとなって社会を、日本を、時代を変えていくことがで
きるに違いないと思うのです。
私は、Jayceeの可能性を信じます。
どんなにちっぽけなことだってええやん。
どんなにささやかなことだってええやん。
共に、Jayceeの可能性にかけてみませんか!
I am proud of you.
私はあなたを誇りに思います。 私の誇りにかけて・・・。