公益社団法人 姫路青年会議所
2016年度理事長 神澤 正太郎 (かんざわ しょうたろう)
壮志凌雲
~誇り高きひと、まちを目指して~
我々を取り巻く環境は、東日本大震災の傷跡が残る中、第二次安倍内閣が打ち出した大規模な経済対策により、デフレ脱却や株価の上昇と、長く冷え切っていた景気が回復へと向かい始めたと言われています。しかし、地方においては、その成果を身近に実感するには至らず、将来に不安を抱えながら何とか現状を維持している状態が続いています。また、日本の抱える最重要課題のひとつである少子化・高齢化についても、依然として効果的な対策を打ち出せず、人口減少・人口流出に歯止めを掛けられずにいます。公益社団法人姫路青年会議所においても、会員数の減少から生じる組織及び事業規模の縮小、事なかれ主義の蔓延などの問題を慢性的に抱えています。このような状況下において、我々若き青年経済人は、どう行動していくべきでしょうか。
1957年、姫路青年会議所は、高き志を持った44名の先輩方の手により全国114番目の青年会議所として登録されました。その志を脈々と受け継ぎながら、時代に必要とされる事業を様々に生み出してきました。創立60周年を迎える今、次代へと繋げていくためにも、原点に振り返り、この時代に求められるJC運動を明確にしなくてはなりません。高き志を胸に、熱き友情を育みながらJC運動を全うされてきた先輩方のように、我々も地域のリーダーとして、姫路青年会議所の看板を背負い、誇りを持って行動できるよう、共に語り、共に考え、共に創り上げましょう。
我々が様々な事業を通じJC運動を展開できるのは、姫路市民はもちろんのこと、多くの関係団体、そして何よりも先輩方の多大なるご支援によるものだということを、事業を行う度に気付かされます。その恩に報いるには、感謝を示すのは当然として、先輩方から受け継いだ志を次代へと伝承していくことではないでしょうか。そのためにも、これまで以上に誇りを胸に、郷土のためにJC運動を展開していきます。社会からの要求に常に応え、多くの人々の心を掴み続ける公益社団法人姫路青年会議所であるためには、固定化、形骸化することなく、風通しの良い組織づくりが必要です。我々JAYCEE一人ひとりも、この「学び舎」で常に切磋琢磨しながら、この地域に存在する課題の解決に向けて積極的に取り組み、率先して行動するリーダーとなることが求められています。我々一人ひとりは特別な存在ではありません。しかし、一人の力は小さくとも私たちが心をひとつに力を合わせることで地域に対してより良い変化を生み出せるのが私たちJAYCEEです。そして、まちに対する当事者意識を持ち、理想を高く掲げ勇気を持って行動する誇りあるものであるべきです。さらに、様々な役割を通じ多くの経験を積み重ね、私たちは自らを成長させることができます。主体性を持ってJC運動に参画する。そこには自らを変革し、個性を磨く機会があります。そして互いに喜びも苦労も分かち合い、心がひとつになったとき、個性の輝く強い組織は確立され、信頼と説得力のある運動が展開できるのです。姫路青年会議所の伝統と誇りを胸にLOM運営を行って参ります。
多くの会員の皆様と共に、姫路青年会議所創立60周年の節目を迎えられることを誇りに思います。その歴史を紐解けば、戦後復興の中、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という熱き想いから始まった日本の青年会議所運動に共感し、歩みを始めたこのまちの青年会議所運動は、これまで数々の大きな足跡を残してきました。「少しでも、このまちのためになることはできないだろうか」「理想のまちに近づくためには、今何をするべきなのか」と考え、人々の心を動かし続けてきました。その原動力となったのは、このまちへの熱き想いです。今我々が活動できているのも、先輩方がその行動力と精神力で、良き手本として示して下さったからです。創立からの歩みを「組織固めの期間」とすれば、これからは、蓄えた力をさらに発揮する時です。困難な課題に果敢に挑戦し、青年会議所運動に邁進することは、組織としても貴重な経験であると同時に、一会員としても地域、会社、家庭において真に必要とされる、誇り高き人材へと成長できる機会です。先輩方への感謝と尊敬の念を抱きながら、愛するこのまちの明るい未来のために、姫路青年会議所がまちにとっても、会員にとっても誇りに感じられる団体となるために、決意と覚悟を持って歩んで参ります。
- 1.60周年記念事業
- 2.誇り高きLOMの発信
- 3.誇り高きJAYCEEの育成
- 4.誇り高きまちづくり
- 5.誇り高きひとづくり
- 6.誇り高きLOMの創造
姫路青年会議所は、これまで携わってこられた全ての方々の努力により、2016年度、60周年を迎えることができました。この60周年を、これまで支えて下さった全ての皆様へ感謝を伝える節目とし、姫路青年会議所の歩みについて検証する機会にしたいと思います。そして、姫路青年会議所が現在まで培ってきた繋がりの一つひとつを紐解き、運動体としてのJCの新たな一歩に繋げていきます。社会奉仕活動から始まった姫路青年会議所の運動は、時代と共に変化し、また姫路青年会議所自体の立ち位置も大きく変わってきました。今後65周年、70周年に自信を持って振り返えられるように、社会の負託に応えられる組織を目指していかなければなりません。過去から未来を繋ぐために、変わらない創始の志を学び、JCの可能性を再確認し、大きな夢を描く60周年記念事業と致します。
姫路青年会議所は2012年、兵庫県下の青年会議所で唯一の公益法人格を取得しました。我々が信頼を得ながら活動してこられたのは、地域に根付いた公益的組織として組織運営を続けてきたからです。姫路青年会議所はこれから10年、20年先も、まちのために存在する公益的組織として永続的に引き継いでいく責任があります。そのためにも、この創立60周年という節目に会員一人ひとりが原点に立ち返り、我々の運動が誰のため、何のためにあるのかという原理原則と、メンバーの付託を受け運営する組織としての責任を常に意識していかなければなりません。
また、青年会議所運動とは、人々に意識変革を起こしていく運動です。運動に込めた熱き想いが伝わってこそ、人々の心を動かし賛同を得ることができます。何を目的に、誰のために、どんな運動を行っているのかを広く認識していただくために、マスコミをはじめ多様なネットワークを活用し、我々の存在感をさらに高めるとともに、運動を広く発信したいと思います。運動の輪をさらに拡げ、このまちに必要とされる厳格な組織を次代へと引き継いでいけるよう、果たすべき役割を確実に果たしていくことで、誇り高きLOMを発信して参ります。
我々は「修練、奉仕、友情」を三信条として活動・運動を展開して参りました。その行動力をさらに発展、進化させるために、次代を牽引するリーダーを育てることが必要です。研修には多様な方法がありますが、日本青年会議所において用意されている様々な研修プログラムを積極的に活用し、視野を拡げることで、自己研鑽とリーダーとしての意識向上を図り、変革の能動者たる会員の意識と資質の向上に努め、リーダーとしての意識を醸成し、組織力の強化に繋げたいと考えます。
また、近年、メンバーの平均在籍年数は約6年と短くなってきており、本来、先輩から後輩へ経験を通じて受け継がれていく「JAYCEEとしての姿」の伝承が難しくなっています。そこで、次代に即した中長期ビジョンを作成し、JAYCEEとしての目的と魅力を明文化することで、JAYCEEとしての高い志、JAYCEEである意義と使命感を伝え続けることにより、誇り高きJAYCEEを育成して参ります。
最近では、多くの市民団体が存在し、多様な活動が民間団体によってなされています。広い視野でこの姫路の果たすべき役割を考えたとき、この地域の経済発展には、外部との連携が必要ではないでしょうか。他地域との連携と協働は、自然と市場を増大させ、一地域で実現できる以上の経済的発展を見込むことができます。そのためには、「姫路だからできる」役割を見出し、地域経済に個性を持たせるべきではないかと考えます。特定の分野において特徴的な企業が生まれ、その総力を持って大都市圏と連携することができれば、人々の生活の基盤が充実するのはもちろんのこと、個人の好奇心を満たし、自己実現の機会の創出にも繋がるでしょう。それが「姫路だから実現できる」という最大の魅力へと結びつくのではないかと考えます。
また、「ひと・モノ・情報」が世界中を活発に行き来している現代において、国家や地域の傘に隠れていては、地方都市の進歩は望めません。姫路は今、「国際のまち」へと大きく飛躍するためのインフラが整いつつあります。ひとやモノが集まるところには物流と消費が生まれ、そこには投資と雇用が生まれます。これらの経済効果をまちの発展に繋げるためには、姫路の持つ個性と魅力を磨き、国内外の消費者の潜在需要に訴え、姫路のまちへ訪れてみたいと思わせる仕掛けが必要です。我々の最大の力は多種多様なネットワークであり、それを最大限活用することで姫路の個性を際立たせ人々の関心を高め、誇り高きまちを創造して参ります。
現在の教育環境に目を向けると、教育を学校だけに依存すること無く、家庭や地域が学校と情報共有する「三位一体」の教育方法が活発化しています。その根本には、子どもたちと大人が共に学び、共に育つ「共育」の理念があります。子どもたちに学ぶ機会を提供するだけに留まらず、大人たちが地域の子ども達に積極的に関わり、共に学べる機会を増やすことが、地域の未来を担う子どもたちに必要なのではないでしょうか。感受性の豊かな時期の経験は、その人間の生涯に、しばしば大きな影響を与えます。生涯に亘ってこの地域を想い、活躍できる人材を育むためには、子どもたちが地域のことを誇りに感じられる経験が重要であり、そのためにも我々が生まれ育った地域を愛し、真摯に行動する姿を子どもたちに見せていくことが重要なのではないかと考えます。
また、まちづくりは“ひと”が行うものであり、“ひと”の成長なくしてまちの成長はあり得ません。理想論で語られるまちづくりの手法を採用しようとも、一人ひとりが主体性をもち能動的に行動しなければ、より良いまちづくりはできないのです。我々は、事業を通じて様々なひとに触れ合いながらまちの未来を語り、あるべき姿を指し示す事で共鳴の環を拡げ、このまちの力強い牽引力とならなければなりません。その為にも、主体性を備えた人間となる学びの場を創出する事が重要ではないでしょうか。語り古された言葉ではありますが「まちづくりはひとづくり」の重要性を各々が改めて認識し、次代を担う多くの地域のリーダーを育成することで姫路のまちを想い、行動してくれる誇り高き人材を育成して参ります。
青年会議所では、感性の違う会員同志が同じ目的に向かい、議論を交わし活動していく中で、熱い友情が育まれています。達成すべき目的への道のりが険しいほど、共に歩んだ仲間はかけがえのない存在として「人生のたからもの」となります。我々は、仲間の存在によって視野が拡がり、“ひと”として成長できるのです。これから、地域のリーダーと成り得る仲間を増やしていくために、JC活動に真摯に取り組んできた会員それぞれが、経験から得た魅力をまだ見ぬ若き青年に自身の言葉で伝えていくことが必要です。新たな出会いによって導かれた者が、青年会議所の魅力を知り、さらに伝播することができれば、会員拡大の循環が醸成されることでしょう。そして、青年会議所に集う同志が増えれば、我々の運動は、より厚みと深みを増し「明るい豊かな社会」の実現に近づくはずです。
また、姫路青年会議所には、姫路ならではのホスピタリティという「伝統」と、渉外活動という「歴史」があります。その伝統と歴史を、日本のみならず世界中に発信し、また一歩外から客観的に姫路青年会議所を見ることで、この団体の素晴らしさを認識することができるのではないでしょうか。様々な方と出会う機会が多い青年会議所運動では、心遣いやコミュニケーションを交わす経験が貴重な糧となります。それらの一つひとつを無駄にせず、青年経済人としての資質を高めることで、誇り高きLOMを創造して参ります。
我々の運動は、時代に即した進化を遂げてきました。しかしながら、「変革の能動者たらん」という創立の精神に基づく志と、情熱と勇姿で奮い立たせてくれる仲間の存在の大きさは変わることはありません。息を切らして奔走し、額に汗しながら、笑顔でJCを語ってくれる仲間。迷い、悩んでいる時には、力強く背中を押して、一歩踏み出す勇気をくれる仲間。辛く、苦しい時にはそっと手を差し伸べてくれる仲間。互いの想いと時間を共有し、苦労と感動を分かち合うことで生まれる強い絆は一生涯のものとなるでしょう。
創始の志を継承する我々JAYCEEは、柔軟かつ斬新な発想と、情熱を持って行動できる力があります。心をひとつにできる我々なら、全てのことは必ず実現できるはずです。
皆様の積極的なご支援、ご参画をお願い申し上げます。