2025年度 理事長あいさつ

第69代理事長予定者

【氏名】 中嶋 崇 (なかしま たかし)

【JCにおける経歴】
2016年 入会
研修特別委員会 委員
JC運動発信委員会 委員
2017年 チャレンジする市民主体のまち創造委員会 幹事
(兵ブ協) 書記
2018年 総務委員会 副委員長
(近地協) 会長特別補佐
2019年 総務委員会 委員長
(兵ブ協)財務規則審査会議 議員
2020年 まちづくり室 室長
2021年 監事
(兵ブ協) 財政局長
2022年 副理事長
(日本)規則審査会議 議員
2023年 グローバルリーダー育成委員会 幹事
(兵ブ協) 監査担当役員
(近地協)新時代創出委員会 委員
2024年 副理事長
(日本)地域経済活性化会議 議員

 

 

 

公益社団法人 姫路青年会議所 2025年度理事長所信

共創
~ALL HIMEJIで、心弾む時代を創造しよう~

【はじめに】

昨今我々を取り巻く環境は、ゼロ金利政策が終わりを迎え、金利上昇が危惧される中、賃金の上昇の波は中小企業まで波及せず、未だ先行きの見えない経済が続いており、手放しで健全といえる状態にはありません。また、東京一極集中や先行きの見えない将来からの晩婚化が、人口減少に拍車をかけ地方に活性が失われつつあり、グローバル化やAI技術の台頭は目まぐるしいほど社会構造を変え、10年後の未来は誰も想像することができないほど急速に変化しています。しかしながら、時世に悲観をするだけでは前に進むことはできません。正解がわからない困難な時代だからこそ、今一度、日本人がもつ素晴らしい技術や能力、または親切心が織りなすおもてなし精神や強固な団結力を発揮することで、強い日本を取り戻し、新しい時代を創る推進力が必要です。

戦後間もない1949年、「明るい豊かな社会の実現」を標榜に掲げ、責任感と高き情熱をもった先達が、新日本の再建は我々の使命であるとの覚悟のもと青年会議所は産声をあげました。そして我々の活動する姫路にも、志高き先輩諸氏の手により全国114番目の青年会議所として立ち上がりました。愛するまちの未来を創造するのは、我々青年の使命であるという創始の精神は、今もなお引き継がれ今日の青年会議所活動の礎となっております。今日に至るまで先達が培ってきた伝統を継承し、愛する姫路のまちを想い、熱く議論を交わし、知恵を絞ることで青年会議所は存在意義を発揮します。昨今の目まぐるしく変化する時代の潮流に惑わされず、本質を捉えた運動を展開するために、今我々が置かれている状況を冷静に分析し、明るい豊かな社会の実現のために必要な要素を的確に捉え、熱き情熱をもって創造することが我々に課された課題です。今必要とされる組織では十分ではありません。未来に必要とされる組織となるため、自らの心を奮い立たせ、協働する方々の心が、自然と弾むような運動を展開してまいります。

【LOM 運営基本方針】

青年会議所の魅力として、個人の機会、地域社会の機会、国際の機会、ビジネスの機会の4つの機会から成長を獲得できることが挙げられます。40歳までという限られた時間の中で、青年会議所活動に精力を注ぐことで得られる学びは必ず、他から得られるものよりも充実したものである必要があると考えます。その中でもビジネスの機会は、比較的新しく掲げられた機会ではありますが、日本で初めに設立された東京青年会議所の趣意書の優先事項に、「国内経済の充実」が掲げられていることはご存じでしょうか。経済が循環し、豊かになることが姫路のまちに活気を生むという発想は、決して目新しい発想ではありませんが、地域のリーダーである我々が、ビジネスの機会を再度捉え直し、経済面からの充実を図ることが大切であると考えます。そして、このまちにおける産業が発展し、そこに住まう市民も利益を享受する循環を力強く支える必要があります。

また、我々がこうして運動を展開できるのは、姫路市民はもちろんのこと、多くの関係団体やそして何より先輩諸氏の多大なるご支援によるものであることを、事業を行う度に気づかされます。過去68年間先輩諸氏がその各時代における社会課題に対峙し、必要とされる様々な運動を創造してきたことで今日があり、我々が何事もなく青年会議所運動に勤しむことができるのは、その伝統に生かされているからであると強く感じます。その弛まぬ努力に敬意を表し、歴史ある伝統を誇りに、我々は運動を展開しなければなりません。しかしながら、この混沌とした時代にさらなる運動を展開するには、伝統を守ることだけでは十分ではありません。その伝統を誇りに、進化し続けることがこの時代には求められます。一人ひとりが当事者意識をもち、情熱をもって率先して行動を起こすことで、一人が二人、三人と数珠つなぎに共感が連鎖し、その運動はさらなるパワーを秘めます。公益社団法人姫路青年会議所の運動がまちのハブとなり、今まで培ってきたネットワークはもとより、新たな連携パートナーを獲得することで、多様なステークホルダーと協働し、新たな価値を創出することでイノベーションの輪を広げてまいります。そして68年間という長きにわたる歩みに深く感謝し、先達より紡がれてきた創始の精神を胸に誠意をもって行動し、さらなる進化のために挑戦を繰り返すことで、心弾む時代を創造してまいります。

【2025年度重点事項】

1.心弾む地域の開発
2.心弾む未来の創造
3.心弾む組織力の向上
4.心弾むLOMの創造

1.心弾む地域の開発

日本における訪日外国人旅行消費額の目標は令和2年に8兆円、令和12年には15兆円と高い目標を掲げており、日本政府も観光大国の狼煙を上げています。そして、姫路市でも、1997年に姫路市国際化推進大綱を策定して以降、2017年にはその名称を姫路市国際化推進プランと改め、「多文化共生社会の実現」と「国際交流の推進」に向けてさまざまな施策に取り組んできました。姫路青年会議所でも、姫路の魅力を最大限アピールするために、多文化の理解や魅力の再発見を行うことで、国際都市姫路の確立に向け努力してきました。そして、2018年には国際アカデミーを主管し、多国の方々をお招きし、姫路ならではのおもてなしと魅力を存分に楽しんでいただくことで、国際都市としてのレベルを着実に上げてきました。世界を震撼させたコロナウィルス感染症の脅威が終息を迎えた今、自然や歴史的建造物、また治安の良さにより日本は、最近の調査で世界の中で訪れたい国1位を獲得しており、我々のまち姫路にもますます外国人観光客が増えることが予想されます。世界文化遺産姫路城を有し、現在でも多くの観光客が訪れる姫路ではありますが、姫路にはまだまだ隠れた魅力が存在しています。その隠れた魅力を掘り起こし、魅力と魅力を掛け合わせることでさらなる相乗効果を生み出し来姫者に楽しんでいただくことが、姫路がさらなる国際都市にレベルアップする上で大切なことと考えます。通過型観光都市と揶揄されて久しい姫路ですが、外国人観光客から適正な対価を受け取り、収益を地域内で循環させることで、さらに姫路の経済は活性化し市民に利益をもたらします。そして、2025年は大阪・関西万博をはじめ、観光の起爆剤となるイベントが開催されます。公益社団法人姫路青年会議所が、今まさに姫路の魅力を繋ぎ合わせ発信し、一枚岩となり外国人観光客の満足感を増大させることで、持続可能な観光都市を確立させましょう。

一方、我々のまち姫路が、活気に満ちあふれ、魅力ある都市となるには、外国人観光客の誘致だけでは不十分です。若年層の都市部への人口流出が顕著になってきており、我々が住み暮らす姫路の活気が低下していると思われる昨今ではありますが、姫路には伝統的な産業や歴史的建造物、豊かな自然や文化、海の幸、山の幸など素晴らしい魅力が多く存在します。これらの姫路の魅力を市民や来姫者に感じていただくために、産官学民、他団体と協働し、誰もが活躍できるダイバーシティな運動を起こさなければなりません。ダイバーシティという言葉はその言葉自体が一人歩きをしがちですが、ダイバーシティを認めるという時代は終わりを迎え、共存していくことこそ、その言葉に価値をもつと私は感じています。姫路青年会議所が誕生してから今日まで培ったネットワークを駆使し、先輩諸氏が歩み続けたまちづくりに、大胆かつチャレンジングな要素を加えることで姫路への愛郷心が増大する事業を展開してまいります。

2.心弾む未来の創造

姫路市も他の都市の例外ではなく、2050年には現在の人口よりも約19%減少すると想定されています。人口減少は、高齢化の進行を招き、労働生産人口の減少による活力の低下や、企業の減少による経済産業の低下、働き手の負担増による疲弊感からイノベーションの停滞などあらゆるリスクをはらんでいます。私は姫路生まれ、姫路育ちの生粋の姫路人ですが、控えめに言って、姫路のまちが住みにくいと感じたことは一度もありません。程よい都市感と程よい田舎感が共存し、不便を感じずに衣食住は整い、都市圏への交通のアクセスにも恵まれています。また、地域行事などを通して近隣関係が子どもたちの発展を見守り、海と山が存在することで生まれる色とりどりな食は、他の都市と比較しても誇れるものです。こうした今ある姫路の良さをアピールしつつ、姫路の潜在能力を引き出すためには、外に向かって地域を開き、積極的につながっていくことで、他の地域での成功事例や良さを取り込む必要があります。地方都市姫路の創生は決して、姫路内で完結するものでなく、あらゆるステークホルダーと協働しながらイノベーションを巻き起こし、そこに姫路のまちの特性に応じた独自性を加えることで促進されます。人口の自然減が避けられない社会だからこそ、リーダーたる我々がハブとなり姫路の可能性を高めることで、人口の還流を促し、より持続可能な姫路に向かって、心弾む住みよいまちの未来を創造する運動を推し進めていきましょう。そして、2021年に公益社団法人姫路青年会議所では、誰もが輝ける持続可能な姫路の創生に向けて「姫路JC未来ビジョン2021」を策定し、中長期で明るい豊かな社会の実現に向け横断的に運動を展開してまいりました。3つの柱である、誰もが輝ける持続可能な「まちづくり」「ひとづくり」「組織づくり」に加え、新たな軸として設けられた「環境づくり」「経済の仕組みづくり」が適切に機能し、夢や希望をもって地域の課題解決に積極的に取り組み、新たな価値が生み出せたかの検証を行います。このまちは決して、我々だけのものではありません。地域と共に創る我々の運動は、多様な主体が協働することで、10年後も20年後も進化をし続けなければ、持続可能な社会の創造は不可能なものとなります。脈々と続く明るい社会への運動の灯をともし続けられるよう、過去と今と未来を鑑みてこの5か年の青年会議所運動の検証を行います。

また、日本の経済は失われた30年という言葉があるように長く低迷していましたが、日本の将来を担う若者が台頭しなかったわけではありません。自身の信念を貫き、10代で会社を立ち上げ世界に飛び立つ若者や、10代でオリンピックチャンピオンになる凄まじい努力と能力を兼ね備えた人財もここ数年増えてきました。昔よりもモノや情報がありふれ、取捨選択が難しくなった昨今では、若者の自主性と自立性が求められます。自身の心揺るがす原体験に触れ、一足先に自身の「ユメ」を見つけた若者は無限の可能性に向かって努力することを見出します。

我々が、若者に対して「ユメ」を与え、彼らの希望にあふれる明るい将来への選択肢を増やすことこそがリーダーの宿命ではないでしょうか。学校教育の範疇を超え、若者にインパクトのある事業を行うことで、新たな価値観を生み出し、青少年の魂を揺さぶるような判断基軸を与え、自分らしさを創る事業を展開してまいりましょう。

3.心弾む組織力の向上

公益社団法人姫路青年会議所の大きな特徴として、新入会員が1年目に所属する研修特別委員会の存在があります。勇気をもって青年会議所の扉を叩いた新入会員は、青年会議所の歴史伝統や、得られる学びの多さに気づくことで、組織への愛着が芽生え、青年会議所の志高い理念に共感し、力強く運動を展開できる人財へと成長します。そして、共に歩み続ける同志の存在が、切磋琢磨を繰り返す中で、固い絆で結ばれたものとなり、将来の貴重な財産になるであろうことを感じます。そのうえで、「奉仕・修練・友情」の合言葉のもと、変化の多い時代を乗り切る自主性と創造力を育んでまいります。私はJC活動と社業は常に不離一体と考えています。JCで学んだことを自身の成長や家族の未来に活かし、社業が成長することこそ、新たな姫路のリーダーの創出に寄与することを肝に銘じ、次世代のリーダー育成に努めてまいります。

また、私たちの運動に影響力をもたせるためには、新しい仲間を増やし続け、先輩諸氏から受け継いだ伝統を守り抜きイノベーションを起こし続ける必要があります。ことわざにもあるように、三人寄れば文殊の知恵ということを、JC活動の中で感じたことがあるのではないでしょうか。我々の運動をより効果的なものとするために、多種多様な新たな同志と活動できることに心弾ませ、「熱意」と「行動力」をもって、一人ひとりが、青年会議所が誇るスケールメリットや人財育成のプログラム、視座の高い仲間と過ごす時間を大いにアピールすることで、まだ見ぬ未来のリーダーに共感を生む拡大運動をしてまいりましょう。

そして、青年会議所が手掛ける運動には必ず、明るい豊かな社会を想像した確かな目的があります。しかしながら、我々が展開する事業が、適切に届けたい方々に届いているかはいささか疑問が残ります。インターネットの発達により、情報は氾濫し、情報リテラシー強者が時代をリードするといっても過言ではなくなった今だからこそ、より多角的に、地元の企業や人々に限らず、国内外から興味をもたれるような、アグレッシブかつ趣向を凝らした広報によって、認知度を上げ、幅広い賛同者を募りましょう。事業に対する人々の共感を生み出し、ファンを作ることが青年会議所運動を最大限に推進し、昇華する方法です。我々だけの広報ではなく、行政や民間団体と協働し、メンバー全体で一致団結し発信することで、他に類を見ない伝播力をもち、無限の力を発揮します。今一度、公益社団法人姫路青年会議所が市民からどのように認知されているか、客観的、俯瞰的に検証し、我々が創り上げる運動が適正かつ正確に人々へ伝えることで公益社団法人姫路青年会議所のファンを増やしていきましょう。

4.心弾むLOMの創造

姫路青年会議所は長きにわたる歴史の下で、創始から幾重にも想いが重なり組織を形成してきました。我々がこうして、青年会議所活動に勤しむことができるのは、脈々と受け継がれた先輩諸氏の想いが積み重なっていることを決して忘れてはなりません。今一度、青年会議所がもつネットワークの大きさに感謝するとともに、友好JCや各地会員会議所とより深い繋がりを築いていけるよう取り組んでまいります。青年会議所運動は決して一人で行うことができず、同志とお互いの得手不得手を補完し合うことで大きな力を生み、波及効果をもたらします。LOM内では得られない知見や、苦楽を共にして得られる絆が、個人の成長に繋がり、より良い運動を展開することで、さらなる心弾むLOMの創造に努めてまいります。

また、姫路青年会議所は県下22LOMの中で唯一公益法人格を取得しており、その態勢は今年で14年目を迎えます。我々の運動は、厳格なルールに基づく予算執行や法令の遵守により、緻密に計画がなされてこそ高い公益性が維持され、地域の皆さまにご支持をいただけるものとなります。時代の変化に応じて、運動に変化を起こしてきた我々だからこそ、変化に対して柔軟に対応できる礎を築いていくべきと考えます。公益社団法人姫路青年会議所が唯一無二な組織として地域の皆さまに認められるため、英知と情熱が結集された建設的な議論が尽くされるように組織の礎を築いてまいります。

【終わりに】

“楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する” 稲森和夫
言わずと知れた経営の神様の稲森和夫氏は、新しいことを成し遂げるには、まず「こうなりたい」という夢と希望をもって、超楽観的に目標を設定することが大切と言っています。天は私たちに無限の可能性を与えているということを信じ、「必ずできる」と自らに言い聞かせる。しかし、計画段階では「何としてもやり遂げなければならない」という強い意志をもって悲観的に見つめなおし、起こりうる問題を想定して対応策を慎重に考え尽くす。そして実行段階においては「必ずできる」という自信をもって、楽観的に明るく堂々と実行していくと唱えています。潮流が目まぐるしく変化する時代において、何を求められているか真剣に考え、物事の本質を、好奇心をもって探究する。そして、どんなに困難な時も、病める時も、その日の最大の力を発揮することで自身のポテンシャルの向上を図り、勇気をもって少し背伸びし、挑戦をすることを怠っていないか常に自問する。私自身、JCの先輩に最大限の力で挑戦していないときには、ことあるにつけて言い訳が出ると叱咤を受けたことがあります。40歳という限られた人生の大事な時間の中で、悔いの無いように成長に貪欲に生きていけるかは、その後の人生を大いに左右します。JCがなくても生活ができるが、JCがあったから物心共により豊かになったと全会員に感じていただき、姫路の「明るい豊かな社会の実現」に向けて一層、姫路に関わるすべての人と力を合わせ、もてる力を存分に発揮してまいりましょう。たった40歳までの限られた期間なのですから。
皆さまの積極的なご支援、ご参画をお願い申し上げます。