なぜ、事業として「ダンボールアート・コンテスト」を選択したのか、その理由について教えて下さい。
  2002年度から小学校で始まる総合的学習に際し、(社)姫路青年会議所から事業結果をソフトとして社会に提言できる事を目的に今回の「ダンボールアート・コンテスト」を教育的事業として企画致しました。
 「ダンボールアート・コンテスト」は、製作過程において楽しく参加でき、環境教育に対しても児童が興味を持ちやすいような、学習効果の高い体験的学習を目指して、全国でおそらく初めて(社)姫路青年会議所が事業として行うものです。

1.まず、ダンボールという素材についてですが、ダンボールは軽く、加工しやすい素材であります。軽いと製作や運搬が楽ですし、ダンボールを利用した作品は大きいものが製作できます(木は重たい。プラスチックは加工しにくい)。そして何より1番大きな理由は、ダンボール自身がリサイクル率88%で資源として再利用されている現在の循環型社会に最適な包装資材という「環境事業でスポットをあてるに相応しい素材」である事です。

2.「ダンボールアート」という名称ですが、「工作」ではなく「アート」というネーミングで、自由な発想での製作を期待しております。設計からの製作課程を楽しんで作っていただく事が、この事業の重要なポイントです。

3.コンテスト形式は、作品の優劣をつけるのではありません。一生懸命作られた作品のアイデイアや努力を評価するシステムです。また、コンテスト会場でいろんな作品が並び、その中で自分達の作品が評価される事の喜びによる盛り上がりを期待しています。こういう右脳を活用するような事業は、長く子どもの記憶にも残りやすいものと思います。

4. 一般にも開放されたコンテスト形式により、地域の幅広い層に呼びかけたいと思います。また、小学校の代表がそれぞれ作品を出す、という事は大きな集客効果を生むものと思われます。

5.アイディアの詰まった楽しい作品が並んでいるのを観る事は、一般参加者にも理解しやすく、体験的学習の普及や、(社)姫路青年会議所青少年委員会の提唱する「創造力」の普及にも非常に有効であると考えます。


なぜ、姫路で「ダンボールアート・コンテスト」がおこなわれるのか、ダンボールと地域的関わりの有無について教えて下さい。
 特に、ありません。
 勿論、地域に地場のダンボール業者がたくさんあり、(社)姫路青年会議所のメンバーとしても在籍しています。しかし、それは全国の他の地域と変わりない状況であると思われます。なぜなら、ダンボール産業は全くの国内産業で、輸出入は殆どありません。また、デリバリ―と輸送コストの点から、概ね100km以内を営業範囲としており、そのため全国各地に工場を配する地域産業であるのが特徴だからです。

国内における「ダンボールアート」の普及状況をご存知でしたら教えて下さい
(展覧会・コンテスト等の開催状況等)
 「ダンボールアート」の普及状況については、全く未知な部分です。「ダンボールアート」をテーマにした大規模な展覧会やコンテストはないようです。
 ダンボール業界では、業界の展示会において、展示会場のオブジェとして動物や昆虫等をダンボールで造ったものを展示されているようです。ただ、ダンボール業者は、あくまでダンボールというものは「物を入れるもの」という認識で捉えられているので、「ダンボールアート」という認識ではなく、あくまで「ダンボールを使った単なる作り物・オブジェ」的な捉え方です。
芸術方面では、ダンボールという素材の持つ面白さから「ダンボールアート」を作る作家は増えています。例えば、有名な作家でいえば日比野克彦がそうです。日比野が作る「ダンボールアート」は、アート面の方向性が強い作品が多いようです。荒木田義人、かつじかつこ、という作家も聞かれます。
 全国の展覧会などでダンボールを素材にした作品が(特に「ダンボールアート」という名称で呼ばれることなく)市民から出品されているような状況は、インターネット上で何件も検索できたことから、意外と数多くあるのかもしれません。
また、大きなイベントでも「ダンボールアート」が展示される事があります。1999年5月1日の瀬戸内「しまなみ海道」開通式に橋の上に展示された、桧山永次の作った大きなトリケラトプスの「ダンボールアート」は広く報道されました。

貴団体における「ダンボールアート・コンテスト」の過去実施実績の有無、 また今後継続の可能性の有無につい教えて下さい。
  (社)姫路青年会議所だけでなく、全国にある青年会議所でも「ダンボールアート・コンテスト」という形のものは開催された事はありません。ただ、四国のある1つの青年会議所が、ダンボールで船を作り、海の浅瀬で船の競技をするという事業を毎年行なっているという話を日本段ボール工業会の河野専務から伺いました。
また、「ダンボールアート・コンテスト」の継続の可能性についてですが、(社)姫路青年会議所が次の年も同じ形で「ダンボールアート・コンテスト」を開催する事はないと思われます。
  しかし、2001年度に行う予定の「ダンボールアート・コンテスト」は、この事業成果を基に、事業報告書の作成を行って、教育関係者に対し2002年度から小学校で始まる総合的学習に際するものづくりをとおした体験的学習としての提言、不況業種といわれるダンボール産業に対し視点を変えた新たな事業としての提言をおこない、今回の事業が全国に広まっていくような活動をしていきたいと考えております。

タイトルにある「In はりま」での審査の視点について、教えて下さい。
 事業タイトルになっております「In はりま」の部分ですが、ご質問の「審査の視点」については、「In はりま」という意味合いの審査基準はありません。広く播磨地域から作品を集めていきたい(「In 姫路」にした場合に姫路市以外の近隣の市町村からの応募が減るであろう)という思いから、「In はりま」という名称に致しました。
 また、コンテストの応募の枠組みについてですが、姫路市57校の参加はもちろんですが、他にも朝鮮学校や地域にあるベトナムやブラジル人のコミュニティーの子どもたち等からも作品を集めていきたいと考えています。姫路市以外の近隣の市町村からの団体についても、制限無く作品を受付けていく予定です。

募集作品の大きさについて、教えて下さい。恐らく作品によって異なると思いますが規定等設けるのでしょうか。
 会場に搬入できるのなら、どんな大きさでもよいと考えます(会場への搬入は制作者負担です)。バラしてあるものを運んできて会場で組み立てるグループもあると思われます。
 ただ、レイアウト上の問題から、予めどれくらいの大きさのものを制作するのかを指定の用紙で確認する予定です。

参加者(校)の金銭的負担の有無(参加料・材料費等) について、教えて下さい。
 学校(および参加者)に対して、参加料等の徴収は考えておりません。
材料については、参加者各自で付近のスーパー等の店屋でダンボールを調達してもらいます。それも環境学習の一環であると考えます。
 ただ、事前に説明会を行う予定ですので、その時にある程度まとまった数のダンボールを渡せるようになると思います。

「チャリティーオークション」について、教えて下さい。おおよその相場、また収入総額見込みについて。
 正直言って、この「チャリティーオークション」の部分は、細かい所まで議論出来ておりません。
 「チャリティーオークション」は、「ダンボールアート・コンテスト」に集まった作品を事業の後どう処分すればいいのか、という観点から生まれました。環境事業という観点からも、作品をリサイクルして活用していきたい。勿論、処分業者に渡すのではなく、楽しい作品にはそれに相応しい行く先がある筈です。ですから、応募者がその作品を事業の後で引き取らない場合には、それを「チャリティーオークション」の札をかけて展示し、事業終了間際で入札金額の高い金額を書いた希望者にお譲りするという形を考えています。値段の付かなかった作品については、付近の保育園や幼稚園等の施設に譲っていきたいと考えております。これも1つのリサイクルですので、(児童が自分達の作った作品が評価され何処かで活用される事によって何かを学んでいくという)環境学習の一つの手段ではないでしょうか。
 相場についての質問ですが、「ダンボールアート」作品の「チャリティーオークション」においては、入札金額を出来る限り抑えて参加しやすいようにする予定です。勿論、講師の篠崎先生の作品には希望者が多く集まると予想されますが、それらの落札金額も抑えていく予定です。
 それらの「チャリティーオークション」の落札で得られたお金については、財団法人日本盲導犬協会( 本部所在地 〒151-0071 東京都渋谷区本町1-21-1 SH小林ビル8F TEL (03) 3375-6201 FAX (03) 3375-6202 理事長 羽田 孜 )に寄付する事を予定しております。1999年度(社)姫路青年会議所青少年委員会においても、約3万円ほどの寄付をしました。その流れを汲んだ寄付先の選択です。