(社)姫路青年会議所 青少年委員会
委員長  東本 孝志

1. 始まり

 それは、1人の作家が作った段ボールの作品からはじまりました。出会いはテレビ番組。テレビ東京で放映された「第1回ダンボールアート王選手権」の中で、篠崎均という作家が汗水流しながら、段ボールを素材にして視聴者の既成概念を打ち壊すデザイン的にも機能的にも優れた遊び心あふれる素晴らしい作品を次々に作り上げていました。続いて「第2回」でも、篠崎先生は同じように素晴らしい発想力と丁寧な仕事ぶりで見る者を唸らせる作品を作り、第1回・第2回ダンボールアート王の連覇を達成しました。その時、私はテレビの画面の前でただ視聴者として驚き、興奮していました。「すごい、段ボールでこんなものまで作れるのか」、「どうしたらこんな発想ができるんだ」、「この篠崎という人のものづくりに対する姿勢は素晴らしい、心打たれるものがある」。湧き上がる思い。作品が、それを作る人の姿勢が、人の心を動かすことを改めて感じました。私は普段から「ものづくり」とか「アート」というものが大好きで、今の子ども達にそれをどうやったら分かりやすく楽しく伝えることが出来るのだろうと考えていましたので、「こういう作品づくりって、わかりやすくて、人に訴えるものは大きいなぁ。この先生の作品を姫路の子ども達に見せてやれたらなぁ。子どもが小さい時に実物を見ることが与える影響って、大きいからなぁ。」などと漠然と考えていました。もうすぐ本当に篠崎先生に出会えて一緒に事業を行うことになるとは夢にも思わずに。
2.構築

 2000年の夏に、私は2001年度(社)姫路青年会議所の委員長として青少年育成事業と環境問題啓発事業という2つの性格の事業を行う役割をいただきました。(社)姫路青年会議所は、2000年度のビオトープ事業をはじめ、過去に姫路市や教育委員会などと連携してさまざまな胸をはれる事業を行っています。毎年、青少年系と環境系の事業を小学4年生に行ってきたという積み重ねられた実績があります。21世紀の初まりの年である2001年、まず私はこれまでの積み重ねを総括して、過去のさまざまな団体とのネットワークを活用し、その上で一貫したテーマ性を持たせた大きなイベントを開催して、地域の子ども達に1つの感動を与えたいと考えました。
 私が子ども達に1番伝えなければならないメッセージは何か、何が伝えられるのか。時間をかけて、いろいろなことを考えました。近年の少年犯罪の若年化・凶暴化、教育の荒廃、環境問題の深刻化、消費社会の暴走、社会のモラルの低下、たくさんの社会現象が突きつけてくる問題の前に大人ですら立ちすくみそうになります。一体子ども達は未来に夢を描けているんだろうか。21世紀の子ども達の未来を光り輝くものとしてやるには、一体何が必要なんだろうか。その答えはすぐにでました。「心」です。強い心、豊かな心、忍耐、向上心、創造、協調、友情、そして夢。私は、これらを生みだすのは心のなかの「創造力」で、「創造力」は精神面と行動面における創造性を発揮する為の豊かな心のポテンシャルだと定義して、2001年の委員会を創りあげていこうと決めました。委員会の基本運営方針はすぐに出来ました。「姫路(まち)を創造しくしよう!!」としました。
 「創造力」とダンボールアート作品を見た時の感動とは、すぐに頭の中で結びつきました。ダンボールアート作品は人の感動を呼びおこし、ダンボールの素材は環境問題を人に考えさせます。ですから、事業の柱はダンボールアートに決定しました。ただ、問題はこれらを広く姫路(まち)の人達に伝えるのにどういう方法をとるかでした。1番効果的なのは、たくさんの人が自分で苦労して作品を作ること。2番目は、素晴らしい作品を見て感動することです。私は、1番も2番も取り込めるような方法を模索しました。やがて委員会のスタッフとの協議で、コンテストの案が出てきました。
 コンテスト。一般に広く参加をつのる公募形式。幸い、(社)姫路青年会議所は2000年度において「あ!WAずGARDEN2000」という広く市民団体が参加した事業を経験しており、そのノウハウが継承されています。事業の方向性が決まったら、どんどんと骨組みが出来上がっていきました。去年のように、姫路地域の全ての小学生にチラシを配布して作品の応募を募っていこう。例年のように、姫路市・姫路市教育委員会・姫路市連合PTA協議会の力を借りて、事業を推進していこう。コンテストに応募された作品は、展覧会のようにして会場に展示していこう。コンテストを開催する日を事業の本番とするのなら、その前に参加者に事業の概要を詳しく説明したり、作品の質が高まるような講習をする説明会を行っていこう。参加可能な対象者は幅広くして、子ども以外でもたくさんの人に作ってもらおう。作品の参加申し込みは、予想図や設計図を書いてもらったものを提出してもらおう。作品についても、大きさやテーマなどの規制はかけず、制作者が前日に作品を会場に持ってきてもらうことにして、持ってきてもらった作品は(表現上に問題がある作品を除き)全ての作品を会場に展示することにしよう。青年会議所は、いろいろな会社や団体で責任ある立場の人間が多く集まっている職能集団です。しかも、同じような年齢の子どもの親という立場の者も多くいますので、会議においてアイデアがどんどんと出てきて事業への夢は大きく膨らんでいきました。開催趣旨を書き、模擬的なスケジュールや予算を組み、事業名やシンボルマークを作成しました。事業を運営するために1番肝心な資金は、青年会議所の委員会予算70万円では足りませんので、事業計画書を作成して日本財団の助成金を申請することにしました。その事業計画書を作成するには、ダンボールアートを象徴するような作品やダンボールアート制作におけるノウハウを伝授できる先生をどうするのかを決定する必要がでてきました。もちろん私達全員、その人には篠崎均先生しか考えられませんでした。
 東京のTV局に電話し、制作プロダクションに電話し、篠崎先生に直接コンタクトが取れました。事業概要をお話すると先生から非常にいい反応がかえってきましたので、次の週には高崎市の先生のご自宅へ伺いました。10月の半ばのことでした。先生に5月の説明会の講師および6月のダンボールアートコンテストの審査員という役割を引き受けていただき、その2つのイベントにあわせてダンボールアート作品を制作していただくことにも快諾いただきました。先生は素晴らしい方でした。この時に、事業の要である子ども達を感動させられる作品づくりが予感でき、事業の構築に弾みがつきました。10月末が日本財団の締め切りでしたので、篠崎先生への訪問の後すぐに事業内容を詰めていき、事業計画書を作成して日本財団に助成金の申請をしました。それからすぐに、事業計画書を携えて、事業にご協力していただけそうないろいろな団体を訪問していきました。
3.展開

 事業を展開していく上で大きな力になっていただいたのは、やはり行政でした。予算を持っているという面もありましたが、なにより小学校などを訪問する時に発揮する影響力には大きなものがありました。行政のいろんな部署を訪問し、いろんなご意見をいただき、事業もどんどん現実性をおびてきました。
 姫路市教育委員会学校指導課での訪問のなかから、ダンボールアート・コンテストにおいて小学校部門を設けるよりも、姫路市内の小学校の代表の子どもたちが当日に会場においてダンボールアートを作るほうが運営上やりやすいだろうということがわかり、「実践!小学生ダンボールアート制作」を設営することになりました。
 姫路市環境局生活環境部環境保全課での訪問のなかから、姫路市は6月が環境月間となっており、6月に姫路みなとドームで事業ができるなら姫路海上保安署の協力が得られて、海上での環境学習をしていただけるというありがたいご提案をいただきました。これが姫路市環境保全課と姫路海上保安署との共催で行った「おやこ海上(マリン)教室」になりました。
 姫路市記念事業推進室での訪問では、この事業を姫路ウェルカム21事業としてご協力していただけることになりました。
 姫路市連合PTA協議会での訪問でも、貴重なご意見をいただき姫路市内の小学校を訪問していく時の参考になりました。
 行政への訪問と並行して、段ボールについての理解を深めるため、日本段ボール工業会、段ボール業界の最大手レンゴー(株)とも接触して、いろいろなご協賛をいただきました。また、地元の播磨地域の段ボールや紙にかかわる業界の企業や団体ともどんどんと接触をもってお話させていただき、素材や製造方法やリサイクルのことなどを教えていただきました。こういう訪問のなかで、紙と関わりのある地元企業の、上野紙料(株)、和光パッケージ(株)、米谷紙管製造(株)、西播古紙協同組合など事業に大変なご協賛をいただいた企業と巡り合うことが出来たのです。 
 また、過去のいろんな環境事業系のイベントに参加されている企業にもコンタクトをとって訪問していきました。すると、環境問題に取り組む企業の中に、子ども達にわかりやすく環境意識を伝える方法として、工作の手法のノウハウを持った企業が多いことが分かりました。大阪ガスの「ケナフを利用した紙すき教室」、関西電力の「間伐材を利用した木工教室」、姫路市環境局美化部美化業務課の「空き缶を利用した工作教室」など、非常に魅力的なノウハウを持っている団体に対して、是非ともこの事業に参加していただきたいとお願いしていくことにしました。当初は、段ボール・紙業界の会社やリサイクルに関係する業者以外の団体に参加してもらうと、事業のテーマが来場者に伝わりにくくなるのではないかと考えていましたが、2つの大きなテーマ「環境」と「ものづくり」の要素を、わかりやすく、楽しく、誰にでも参加できるように、事業のなかのブースで色分けしていけば、より良いイベントになっていくという形が見えてきました。「環境」のテーマ性が強くでているのが「環境(エコ)ブース」、「ものづくり」のテーマ性が強くでているのが「わくわく工作教室」というように振り分けていきました。企業だけでなく、民間のボランティア団体もリサーチして、加古川市の「ボランティア グループくさのね」にも参加のお願いをしていきました。
 そして、今回の事業に是非とも参加していただきたくて積極的にコンタクトをとったのが岡山県倉敷市のNPO法人「ボランティア協会岡山ビューロー」でした。姫路市であったあるイベントで「おもちゃの病院」がブース出展されているのを見たのがきっかけです。おもちゃは子どもが人生の最初に感情移入する大事な友達ですが、そのおもちゃを「おもちゃの病院」を運営されている人達はハンディキャップのある人達を含めて実に明るく楽しそうに子ども達と触れ合いながら治されてました。その団体にでてもらうことによって、子ども達が物の大切さを実感したり、創造する力や研究する力を高めたり、ふれあいを通して豊かな人間関係を結ぶ機会になることを確信しました。そして、頑張っているNPO法人の活動を播磨地域の多くの人たちに紹介して、ブースを訪れた人に感動してもらいたいと考えました。ありがたいことに、我々の趣旨に賛同していただき、事業当日は遠方から大勢の人数で来ていただいてブース運営をしていただくことになりました。 
 いろいろな団体との話が進み、「ダンボールアート・コンテスト」の細かい部分も決定しましたが、ここで再び事業の枠組みを大きく見直す必要がでてきました。多くの人からボランティアでいただくご協力に報いる為にも、もっと工夫を重ねて、来られた観客や参加する子ども達に事業からのメッセージが伝わるようにしなくてはなりません。イベントとして成功させるには何が必要か。委員会での議論でした。
4.発展

 事業の主軸はやはり「ダンボールアート・コンテスト」であり、そこへの応募された作品の展示というのが当日の会場での目玉でありました。しかし、イベントというものは多くの人に来てもらってこそ成功というのも事実であります。どうしたら多くの人に来てもらえるのか。集客の方法。来場者が当日に会場に来て1日居ても飽きない為の工夫や仕掛け。いろいろな議論を積み重ねました。集客の目玉としてよく行われるキャラクターショーを呼んだらどうかというような案もでましたが、結論としてやはり事業の根本にある「子どもの創造力」に訴えるものを作る、また「子どもの創造力を発表できる」場を作るという事業理念に立ち返って、事業自体の枠組みを大きく捉え直しました。
 そこでの議論の結果生まれたのが、段ボールを材料にして篠崎先生が設計した手作りの子ども達の遊び場である「ダンボールアートあそびゾーン・紙パイプ広場」、地元の頑張っているいろんな子ども達の団体が出演する「子ども創造力ステージ」、地元の市民活動団体が運営する「グルメたべもの屋台」であります。これらを行うことで、事業規模がかなり大きくなりました。
 事業名称も企画当初の「ダンボールアート・コンテスト in はりま = キラめく創造力の世界 = 」から「キラめき! 創造力 フェスティバル =ダンボールアート・コンテスト in はりま= 」と変更しました。集まったダンボールアート作品を展示してコンテストの結果発表をするだけの単なるイベントでなく、「キラめき! 創造力 フェスティバル」は「ダンボールアート・コンテストin はりま」を中心にした、いろいろな形で子ども達の創造性を発表できるように、ステージや企業などのブース展示が一体となった総合イベントにしていくんだ、という気持ちでとことん企画を詰めていきました。
 「子ども創造力ステージ」の出演団体については、過去にお世話になった団体や地域で評判の高い団体に対して訪問して事業内容や趣旨を説明させていただくと、驚くほど良い反応や積極的な参加の返事が返ってきました。大勢の観客の前で日頃の練習の成果を発表できる場がもっと欲しかったという団体のニーズに合致したのと、我々の事業趣旨と団体の運営目的とに共通している部分が多かったというのが、上手くいった大きな原因と思います。結果、「キラめき!創造力フェスティバル」のためのオリジナルミュージカルを始め、保育園児60名の迫力いっぱいの和太鼓や70名のダンスステージ、韓国民族舞踊や合唱など多彩な9団体、総勢400名の子ども達に出演していただくことになりました。そのため、会場内ステージは当初考えていた簡素なものから、ステージ寸法を大きくして、音響設備を充実させて、出演者に配慮したものに設営し直すことにしました。
 事業規模が大きくなった為に必要になった会場内での飲食の設営については、2000年度に行った事業「あ!WAずGARDEN2000」のおいて協力いただいた市民活動団体などに声をかけたところ、前年の成功もあって非常に反応がよく、すぐに参加していただきました。そのおかげで、「グルメ食べ物屋台」は11団体の企業及び市民活動団体に運営していただくことになりました。
 事業規模が大きくなってくれば当然予算も大きくなりましたので、青年会議所内では特別事業費を申請して、計画を練り上げていきました。
 前日からのブースやステージなどの会場設営、多くの入場者、たくさんの協賛団体、多くのステージ出演者、さらに作品展示、コンテストの審査・表彰式など、運営する側として対応していかなければならないことは数多くありました。それに対して、我々は16人。イベントをまわしていく人数にはとても足りません。運営上、助けが必要でした。我々の事業趣旨に賛同していただける、機動力のある団体。非常に頭を悩ませた問題でしたが、ここでも素晴らしい出会いがありました。姫路工業大学の勝木先生のご紹介でお会いできました姫路工業大学の「姫路キャンプカウンセラーズクラブ(HCCC)」、日頃はキャンプ場での子ども対象のボランティア活動をされている大学生の団体です。我々にとっては学生ボランティアと一緒に事業運営するのは初めてのことでした。後で振り返ると、彼ら無しではこの事業の成功はあり得なかったし、我々は彼らから実に多くのことを学ばせていただきました。この出会いは事業推進の大きな力となった、またこれから先も関係を継続していきたい意義深い出会いでした。
 いろいろな団体との折衝も1つ1つこなしていきました。日本財団からの100万円の助成も決定し、青年会議所内の特別事業費も100万円使えるようになり、残りは地元企業に協賛をお願いする方向で全員が動きました。また共催団体も姫路市、姫路市連合PTA協議会、姫路海上保安署、ひめじウェルカム21実行委員会と決まり、コンテストからフェスティバルへの発展もなんとか目途がつきました。しかし、コンテストが成功してこそフェスティバルの成功です。そこで、この章の後半は事業の主軸である「ダンボールアート・コンテスト」の運営を中心に述べていきます。
 事業規模がどんなに大きくなっても事業の主軸は「ダンボールアート・コンテスト」ですので、その失敗などは考えられません。如何にして成功のレベルを上げていくか、その戦略の方法が議論の中心でした。「ダンボールアート・コンテスト」の大きな流れとしては、事前説明会、申し込みの受付け開始、広報、申し込みの締め切り、事業前日の作品搬入・展示、事業当日の作品審査・表彰があります。まず、重要なのが事前説明会です。今までに誰も知らない「ダンボールアート」を理解してもらい、「楽しそうだな、やってみたいな」と思ってもらい質の高い作品を作ってもらわなければなりません。どうやってわかりやすい事前説明会を作り上げるのか、どうやって多くの人達に事前説明会に来てもらうのか、「私もダンボールアート作品を応募してみよう」と思わせるのにはどうやればいいのか、というマーケティング戦略のような議論を委員会で行いました。
 議論の結果、まず最初に事前説明会の前に多くの人に配布するチラシのレベルを出来る限り高めていくことにしました。人の記憶に残るように、事業に楽しそうな印象を持たせるように、事業名のロゴやポスター・チラシの色合いを派手にして子どものキャラクターを登場させました。チラシに参加申し込み用紙を付けました。応募者が参加申し込み用紙を提出すると運営側から受付け用紙が届くのでそれを書いて作品と一緒に持ってくるという手順を踏むことで、事前に応募作品の数や制作者が把握できるというやり方もこの時に出来上がりました。出来る限りいろいろな表現に気を配りました。特に、チラシではコンテストの内容の記述に苦労しました。作品の応募対象は全ての人、小学生や中高生から大人までです。小学生でも分かりやすい書き方と大人でも興味をそそられる内容を両立させるのは難しいことでした。最初にあった特許や著作権などの記述は省き、大きくスペースをとってダンボールアートの作り方の漫画を載せることにしました。内容の重要な部分には誰でも読めるるようにルビをふったり、地図を出来る限り分かりやすくしたり、シンボルマークにも段ボールの質感を持たせたりと、工夫を盛り込んでいきました。
 事前説明会では、「篠崎先生のレベルの高い作品を見てもらうことで、来場者のやる気を起こさせる」、「篠崎先生にダンボールアートの作り方を具体的に講演してもらい、出来るだけ多くの応募者から質の高い作品を作ってもらう」という2点が重要目的です。先生に作っていただくダンボールアート作品や講演の内容について打ち合わせるために、2月に再び先生のご自宅へ伺いました。先生から「作品を作るのには自信があるが、人前で話すのは苦手だから講演でなく何か別の方法を考えて欲しい」との話が出ました。そこで、先生には我々から出したテーマでダンボールアート作品を2つ作っていただき、その制作過程をデジカメで映像に撮って随時ネットを利用して送っていただく。もらった画像データを我々が加工して「ダンボールアート作品の作り方」というプレゼンテーションソフトを作っていき、説明会当日では先生がプレゼンテーションソフトを映写して聴衆に見せながら話を進めることにしました。我々の出したテーマは単純なものでしたが、それに応えた先生はアイデアをいっぱい盛り込んだとても素晴らしい作品を作っていただきました。日々メールで添付されて送られてくる画像を見て感動しながら、プレゼンテーションソフトに加工していきました。
 事前説明会において、段ボールや紙管などの紙関連の素材について子ども達に学んでもらう為、地元企業の上野紙料(株)、和光パッケージ(株)、米谷紙管製造(株)に訪問し、材料を協賛していただきました。また、そこでの様子をビデオに収めました。材料は説明会で展示した後に来場者に配ることにし、ビデオは企業の映像も含めて我々自身が出演した「ダンボールアート・コンテストについてのビデオ」を自分達で編集しました。レンゴー(株)から頂いた小学生向け冊子「段ボールおもしろブック」や我々が作った「ダンボール工作について」など配布資料も用意しました。
 やがてチラシが出来上がると、委員会メンバー全員で手分けして、姫路市内の小学校全校生徒分の枚数を持って、姫路市内の小学校全てを訪問し、事業内容や趣旨を説明して、事前説明会への参加や「実践!小学生ダンボールアート制作」への参加やコンテストの応募のお願いをしていきました。
 また、広報活動として、新聞、雑誌、地域コミュニティ紙などへ紹介記事を載せていただくほか、関連のありそうなイベントには出かけて名刺交換をしてPRをしていく草の根的展開も行いました。
 おかげさまで、5月13日の事前説明会当日には200名を超える参加者がありました。姫路市のお力添えにより、日曜日にも関わらず姫路市役所の大会議室を貸していただき、最新の設備を使った「ダンボールアート・コンテスト」のプレゼンテーションが出来ました。姫路市環境保全課の行った「おやこ海上(マリン)教室」のプレゼンテーションにも大きな反響があり、参加申込者が多く抽選になるほどでした。会場に用意しておいた強化段ボール、カラー段ボール、片段ボール、紙管を参加者が列をなして持って帰って殆ど残らなかったのには驚きました。篠崎先生の事前説明会の為に作っていただいた恐竜がモチ−フの作品を初めとするダンボールアートやペーパークラフト作品には、大人も子どももその完成度の高さに目を輝かせていました。そして、篠崎先生のコネクションで協賛していただいた群馬県榛東村の宮川梱包運輸(株)パピート事業部の強化段ボールで出来た家具の展示にも大きな反響がありました。やはり、レベルの高い作品を見た時の感動は大きいようで、「段ボールでこれだけのことが出来るんだ」というような感想を全員に持っていただいたようです。
 事前説明会の後は申し込んでくる応募を待つのみになるのですが、やはり未だ認知されてないイベントですので、姫路近辺の老人大学などを含む全ての大学、高校、中学校、専門学校、美術教室や工作教室を初めとして、県民局、姫路市立美術館、姫路科学館、県立姫路こどもの館、姫路発明研究会、地元の工芸作家の人たち、福祉作業所、趣味のグループ、アートスタジオなど可能性のあるところを訪問して、ダンボールアート作品の応募のお願いをしていきました。そのなかで、姫路工業高校デザイン科では、先生が事前説明会で使用したプレゼンテーションソフト「ダンボールアート作品の作り方」や教材を使って生徒を指導していただくという、学校としての積極的な取り組みをしていただきました。
 6月8日が応募の申し込みの締め切り日でしたが、その前日まで20通位の応募しかなかったのでとても心配しました。しかし、締め切り日当日に50通以上の応募がありました。姫路市内のいろんな地区から、また姫路市だけでなく加古川市や神戸市からの応募があり、しかも、年齢も5歳から72歳までの幅広い層から応募がありました。その内容を見ると、アイデアが豊富で、完成予想図も一生懸命描かれており、作品タイトルを見ていくだけも楽しいものでした。この時、「ダンボールアート・コンテスト」の成功が確信でき、「事業のコンセプトは間違っていない。あとは、事業当日を如何に演出し、実体化させるかの知恵を出すかだ。」という思いを強めました。
 チラシには我々の携帯電話の番号を載せていたので、協賛団体やコンテストの応募者や一般の人からの電話がよくかかってきていました。その中でコンテスト応募者の問い合わせに「作った作品のデモンストレーションをしたい。そのデモも審査員の審査対象になるのか。」というのがありました。その問い合わせを受けた時に、「ダンボールアート・コンテスト」の事業当日のあり方は、当初考えていた「ただ出来上がった作品を机の上に綺麗に並べて展示する絵画や彫刻の展覧会のようなもの」から「いろんな作品が雑多にカラフルに並んで展示された賑々しい空間があり、そこで作品を作った人が見ている人にその作品を動かしたりしながら説明できる参加型のもの」にした方がよいものができるというのがわかりました。作品出展者が審査員にアピールできる時間を設けることにしました。
 「ダンボールアートあそびゾーン・紙パイプ広場」については、我々が手伝える事を篠崎先生とすり合わせて打ち合わせをして、先生の設計が出来上がってきました。それから、先生は毎日毎日部品を自宅で作り、出来上ったものをしっかり壊れないように梱包して姫路まで送ってくださいました。我々は紙管や強化段ボールなどの材料や工具を用意して、委員会メンバーの会社の一室を子ども達の遊び場を手作りで作り上げる作業場にしました。事業前になると、先生も姫路に来られ、我々と先生の共同制作が始まりました。委員会メンバーは仕事の合間をぬって、時間があれば制作の手伝いをしました。あそびゾーンの遊具のほかにも、いろんな備品、例えば立て札、幕掛け、作品プレート立てなどダンボールで作れるものは作り、ごみ箱なども分別収集出来る様に全て手作りで作り上げていきました。事業でスタッフが着るTシャツも手作りでプリントしていきました。
 事業直前は、本当に忙しく、何もかもが押し寄せてきたかのようで、打ち合わせ、確認、変更、念押しなどを繰り返しました。ありがたいことに、たくさんの団体から積極的な協力や協賛をして頂いて、事業の規模も事業前でもどんどんと膨れ上がっていきました。林田にタガメの里をつくる会、はりまロボットスクールプロジェクト、太鼓屋六右衛門など急きょ参加いただいた団体もありました。学生ボランティアも事業2日ほど前にグンと数が増えました。他の大学の学生にも来ていただいたりと、ネットワークの広がりを感じました。そして、外部に向けては、姫路市記念事業推進室のお力添えを得て、テレビやラジオや新聞などメディアを通じた幅広い広報、PR活動が出来ました。
 事業日前日の6月16日は、朝から学生ボランティアと共に会場設営でした。会場のシート張りから、ステージ設置の手伝い、会場周辺のポスターやのぼりの設置などを行いましたが、学生ボランティアが数多く来ていただいたおかげで、予定より早く設営できました。ステージ参加団体のリハーサルもスケジュール通りにできました。昼前くらいから「ダンボールアート・コンテスト」の応募作品が搬入されてきました。申し込み用紙に描いてあったものが実物のダンボールアート作品として、姿を現わしました。応募者の大半が親子連れで、次々と持ってきてくれました。子どもは目を輝かせ、楽しそうに自信を持って作品を持ってきました。大きなものもたくさんありました。特に、建機メーカーの社員の人達が毎日仕事のあとで作った作品は高さ3mを超える建機の実物大サイズで、本物が来たのかと驚きました。(申し込み用紙には1m程度の大きさしか書いてなかった。そういう風に申し込み用紙と違って作られた作品も多くありました。)また、姫路工業高校からの作品も数多く出品され、いろんなテクニックを使ったレベルの高い作品が多くありました。いろいろな作品があり、本当に予想以上のレベルでした。持って来た人達も他の作品を熱心に見ていました。見ていると、作品の1つ1つから一生懸命作った様子が伺えます。作品全てが作った人の夢とか心のうちを表現していて、これらの作品が集まっていくにつれて、とても楽しい空間が出来上がっていきました。持ってくる直前まで一生懸命作り続けていたグループも何グループかありました。20時過ぎまで作品の受付けをしていました。作品の展示の配置は、素人ながら、色合いに気を配り、少しテーマが似ているものは並べたり、小学生が手助けを借りずに作ったような作品を出来る限り前に出したり、小さいものは大きいものの影に隠れないように、でも小さいと大きいとがリズムのついた並べ方でバラエティ感を演出したりするなど出来る限り頑張りました。搬入時の雨を心配していましたが、大丈夫だったので本当に安心しました。
 企業や団体のブースの前準備も順調にいき、「ダンボールアートあそびゾーン・紙パイプ広場」は設計図通りのものが完成し、とうとう待ちに待った明日の事業本番に備えることが出来ました。
5.フェスティバル

 「キラめき!創造力フェスティバル」は、(社)姫路青年会議所、企業、行政、NPO法人、市民団体、学生ボランティアなどたくさんの人たちがそれぞれの立場で、地域の子ども達の為に協力しあった、素晴らしい事業になったと思います。来場者数が1万人であったというのは、本当にありがたいことでした。それもこれも、いろんな人や団体のお力添えのおかげです。
 6月16日、「キラめき! 創造力 フェスティバル」事業当日。朝早くからたくさんの人が集まってきました。運営の立場でブース関係の団体、学生ボランティア、司会・音響、駐車場周辺警備などたくさんの人が、参加の立場でステージ出演する子ども達と親や知人に団体の責任者、会場で作品を作る小学生達と保護者、作品を出展した制作者達、審査員の先生方をはじめとして、フェスティバル開始の1時間前に会場がいっぱいになりました。
 姫路市内の小学生達が当日午前中に会場でダンボールアート作品を作り上げる「実践!小学生ダンボールアート制作」も、予想以上に素晴らしい作品を作っていただきました。事前に何を作るのかを聞いてなかったのですが、小学生の順応力や創造力の素晴らしさが存分に現れた15の楽しい作品が出来上がりました。それに、会場内に制作スペースを設けることによって、互いに協力しあいながら一生懸命に段ボールを切りだしたり、色塗りしたり、組み立てたりといろんな作業に対して真剣に取り組む姫路市内の小学生達の姿を来場者に見ていただくことが出来ました。すると、思わぬ効果として来場者の人達、特に子どもから「自分達も作ってみたい」と飛び入りでダンボールアート制作に参加してくれました。これは、本当に会場内の素晴らしい作品を見た感動や真剣に取り組む姿を見た感動が起こした現象です。「作ってみませんか」とお願いしてもなかなかやっていただけないと思っていたのに、逆に「やってみたい」、「カッターやボンドありませんか」とか「出来たので展示して下さい」と言われたのです。作品を仕上げている子ども達の表情もとても素晴らしかったです。これを受けて、午後から制作スペースを全面開放して、宮川梱包運輸パピート事業部からご協賛いただいた強化段ボールで出来た製品を配り、来場者に作っていただきました。たくさんの親子が一緒に制作する姿を見て、「こういう共同作業ができる自由な広いスペースも求められていたんだなぁ」と感じました。13時からの「実践!小学生ダンボールアート制作」表彰式では、ステージ上で小学生達が作品を会場の皆さんに発表してから表彰を行ないました。後で回収したアンケートによると、「むずしかった」り「きんちょうした」り「大変だった」作品づくりだけれども、「じょうずにできたのがとてもうれしかった」ようで、他の人の作品を見て「いろいろ工夫してあって上手だと思った」ようです。小学生の参加者全員に賞状があたるように配慮しました。
 「ダンボールアート・コンテスト」の展示スペースも、篠崎先生の作品と73のレベルの高い応募作品が展示でき、来場者に大変好評でした。作品の前で制作者がパフォーマンスをしたり、審査員や来場者に工夫した点や苦労した点を説明したり、また子ども達は作品の前で記念の写真を撮ったりと楽しい空間になりました。ただ一点、来場の小さな子ども達がすぐ作品で遊んでしまい作品を壊してしまうのを監視するのが、来場人数が多かったので大変でした。
 エネルギッシュで楽しくて、いい雰囲気に包まれた会場が実現でき、私は満足しました。私が最初に篠崎先生の作品を見た時に感じた感動を、来場者も会場のたくさんの作品を見て感じて下さったと確信できました。
 「ダンボールアート・コンテスト」の審査では、審査員の議論が尽きず、受賞者の決定は予想以上に困難を極めました。審査上の項目別の点数を足し算するだけでは、とても賞を決めることは出来ませんでした。審査員の先生は、打ち合わせ室から展示場まで何度も往復して、話し合い協議しました。作品の完成度や表現力のレベルが高くて拮抗しているので、誰もが納得できる公平な審査、賞の配分に気を使いました。その結果選ばれた優秀な18作品をステージにおいて表彰しました。また、多くの制作者から「次回もコンテストがあれば出品したい」との声をいただき、感激しました。また、審査員の先生からも「大変良い作品が多くて審査も大変だったが、とても良い企画だった」との言葉をいただきました。
 「環境(エコ)ブース」、「わくわく工作教室」、「おもちゃの病院」の15のブース全てが予定を上回る盛況ぶりで、また展示内容や企画も来場者に好評でした。運営団体が用意していた工作キットが足りなくなるくらいに、多くの子ども達が積極的にものづくりに取り組む姿が見られました。これらのブースを運営しているのが、地元の企業、行政、NPO法人、市民団体であり、それをサポートするのが(社)姫路青年会議所と学生ボランティアであったという点が、非常に意義深いと思われました。学生ボランティアには、子ども達に非常に親身になって接していただきました。また、衣類などボランティア活動の為に募集していた物資も予想以上に多く集まりました。
 「おやこ海上(マリン)教室」も、会場近くの姫路港沿岸から出発した姫路海上保安署の巡視船「ひろみね」の航海を無事に3回終えることが出来ました。親子約200名が参加し、日常ではなかなか経験できない環境学習を通じて、広大な自然と人間との共存について考えたり、水質検査と通じて環境問題への意識に気づくきっかけになったようです。
 「子ども創造力ステージ」もバラエティーに富んだ内容で、子ども達の素晴らしい活動発表ばかりでした。9団体で出演した子ども達は総勢400名になりました。それぞれが団体の持ち味を活かしたステージ演出で、観客も感動したり、惜しみない拍手をおくっていました。
 「ダンボールアートあそびゾーン・紙パイプ広場」のスペースには、小さな子ども達がたくさん訪れて、絶えずにぎやかに遊んでくれていました。事業の最後には、子ども達がいっぱい遊んだダンボール遊具をステージで「ダンボールアート・チャリティオークション」に掛けました。それぞれ、親子や姫路市内の保育園に落札されて、25.071円のお金が集まりました。そのお金は財団法人日本盲導犬協会に寄付しました。
 「グルメたべもの屋台」もほとんどのブースが完売になり、運営していただいた地元の市民活動団体にも喜んでいただきました。
 いろんな団体からたくさん感想をいただき、来場者からもいろいろとお声掛けしていただき、参加者からも「来年も是非開催して欲しい」などの感想をたくさんいただきました。ここに書き記しておきたいエピソードも数多くありました。しかし、ここで当日の詳しい状況を客観的に記述をすることは大変難しいのです。私自身、他の委員会のメンバーと同じで、持ち場の仕事に手一杯でかかりっきりになり、全体を常に把握することは出来ていませんでした。ですから、あえてここでは当日の細かい内容に触れることは致しません。しかし1番書いておきたいのは、運営していただいた全ての団体がそれぞれの立場で手応えを充分に感じながら運営にあたっていただいて、子ども達の一生懸命な姿や目を輝かした姿や笑顔に満足していただくことが出来たと、私は誇りを持って確信しております。
6.検証

 さて、「ダンボールアート・コンテスト」は、当初考えていた「2002年度から小学校で始まる総合的学習に際してソフトとして社会に提言できるような教育的事業」として実現できたのでしょうか。来場した子ども達や親子に本当に「創造力」を身に付けていただくことができたのでしょうか。
 多くの人から感想をいただきましたが、コンテスト応募者からとったアンケートのなかでキーワードを拾ってみますと「ダンボールアート・コンテスト」は「とりくみやすい」、「親子で楽しめた」と理解しやすい企画として広く受け入れていただきました。その結果、応募者の「幅広い年齢の人が参加しているのがいい」「おもしろい」コンテストになったといえます。また、作品づくりを通じて、「学校でできない経験ができた」、「一生懸命できた」、「いろんなものが作れるのがわかった」という参加者の満足できる経験になったといえます。また、協賛団体からいただいたご意見に「子ども達や親子が熱心にものづくりに励んでいた姿が印象的でした」とあったように、やはりものづくり作業のなかで制作者達は協力性・協調性を大いに発揮された共同作業をしていました。また、自分が一生懸命に作った応募者ほど熱心に他の作品を見ていたようです。そういうところから表現力を学びとっていただいたのかな、と思います。
 客観的なデータなどとれていませんが、取り組みやすさや理解しやすさなど今回はいい意味で「今求められているニーズに合った」コンテストになったのではないでしょうか。さらに、参加者がこれを機会に物を大事にしたり、素材に関心を寄せる結果になりそうな点からも、企業や行政にとっても、特にリサイクルなどの環境問題のPRを行う上では参加しやすいコンテスト事業であったと思います。
 「ものづくり」というのは目的の糸口で、この事業の体験のなかから「創造力」豊かな子どもの育成と「創造しい」(エネルギッシュな)まちづくりが、私の目的でした。そういう意味で、「ダンボールアート・コンテスト」はまだまだ発展させられる可能性を多く含んでおります。もっともっといろんな人や団体に事業に広く深く関わっていただくことで、もっともっと大きなものが出来ていくと思います。
 事業後に寄せられたご意見の中にキーワードになる言葉がありましたので、引用します。「(前略)県民局幹部の方とも話していたのですが、はっきりと市民が自発する場を積極的に求め始めている姿と、それを提供する側のNPOの活性化を、姫路JC(青年会議所)が形として見せてくれているのだと思います。この素晴らしいイベント効果をまちづくりの仕掛けとしての成果へ導くためにと、ぜひともここからも燃え上がってひとづくり(ひとつなぎ)を行って頂ければと切望します。(中略)少し長期的な目で地域をみつめながら、よりよいまちづくりを目指して頑張ってくださいね。」
 このご意見にあるように、長期的な視野をもって、フットワークを軽くネットワークを広く活動を行ない、いろいろなまちづくり、いろいろなひとづくりを行えるような、そういう(社)姫路青年会議所でありたいと思います。
7.最後に

 こうして振り返ってみると、本当にたくさんの人や団体からお力添えをいただいたおかげで、「キラめき! 創造力 フェスティバル =ダンボールアート・コンテスト in はりま= 」が成功できたのが改めて実感できます。この文章に登場させることが出来なかった方も数多く、また我々の気づかないところでもいろんな形でご支援をいただきました。そして、(社)姫路青年会議所のメンバー、青少年委員会のスタッフを中心に大変な苦労をさせましたが、みんな最後まで私についてきてくれて協力していただきました。全ての人に対し、本当に感謝の言葉しかありません。ここに重ねて御礼申し上げます。
 そして、私自身の、子ども達に「創造力」を伝えたい、子ども達の笑顔を見たい、という思いから行動し始めた「ダンボールアート・コンテスト」。2001年度の成功を受け、2002年度も開催することが決定しました。これも皆様方のおかげであると、感謝の念を持って受けとめています。
 事業の設営準備を行っている時、よく周りから「そんな事言うけど本当に出来るの」とか「大丈夫なんですか」と聞かれました。我々は、準備中に失敗のことは全く考えていませんでした。ただ、やりたいから絶対やりぬいてみせる。これは素晴らしいものになるんだから、もっとこうしよう。常に前を向いていました。後で「お金が集まらなかったらどうするつもりだったの」とか「ボランティアが集まらなかったらどうやって運営するつもりだったの」とかも聞かれました。その答えも「絶対何とかして集めるつもりやった」しかありません。それが結果、事業規模の拡大につながり、事業の成功に結びついたのだと思っています。誰かが「子ども対象の事業は人が集まりやすいから、成功しましたね」とも言ってきましたが、そうは思いません。子どもは本気とうわべだけのものの区別はつきますし、例え人数が集まったとしてもうわべだけのイベントではすぐに帰ってしまいそこで長時間楽しんではもらえません。まず目的があり、何をしたらいいのかを本気で突き詰めて考え、それに対して1番力になっていただけそうな方達にご協力のお願いに行った。その行動こそが大事だと考えます。コンセプトと戦略と実行力の3本柱、それがあったからこそいろんな方達のお力添えをいただけることができたのかな、とも思っています。
 とにかく、「ダンボールアート・コンテスト」は今年立ち上がり、来年も続いていきます。兵庫県姫路市で「ダンボールアート・コンテスト」という素晴らしいイベントが続いている、というのが定着したらどんなに素敵でしょう。「ダンボールアート・コンテスト」が、参加した子ども達のいろんな分野の才能を伸ばすきっかけになったらどんなに素敵でしょう。私は今も夢を見ています。これからも姫路(まち)をもっともっと創造しくしていきたい、もっとたくさんの子ども達の笑顔のために。
 どうぞ皆様、これからも青年会議所の事業活動に対しての、多くのご指導ご鞭撻を宜しくお願い致します。
文章中の会社および団体の敬称は省略しております。宜しくご了承下さい。